経営責任者に求められること
会社の経営責任者になって経営に責任を持つ。そのために経営管理をする。本社のトップならずとも数ある子会社のトップになることも、海外進出して海外子会社を任される場合もあるでしょう。さて経営を任されたその日からどうしますか。
DX, AIの時代です。ERPから数字をアウトプットして望みのフォーマットで集計するのは、今や自らの手を煩わさなくても目の前のスクリーンに出てくるようになった会社も多いかと思います。今年度の業績進捗、当月のPL/BS、資金、在庫、何でもあると思います。経営責任者はその会社の業績・資産を引き継いで、少しでも付加価値をつけて増やして次代に繋いでいく、またブランド価値を上げていく、そういう事が求められています。
つまりゴーイングコンサーン、「継続企業の前提」を実践することが求められています。
経営管理とは
継続のためには正しい方向に会社を引っ張っていく、経営資源を世の中に認められ利益という対価で評価して貰える商材、サービスに投入していく。言うは易し行うは難しです。どうやって正しい方向を知ればいいのか、経営責任者はいつもその意味で孤独です。天才的に気づく人もいるでしょうが、経営手法として着実にそれを発見する術を確立しておかなければなりません。それが経営管理です。
具体的にはどうすれば
結論から言うと「ルーツを探り歴史を紐解く」ことです。なーんだと言う人も多いでしょうが、この事に気づいてどれだけ早く実践できるかが、経営成果をスピード感を持って問われる現代では重要です。経験談として、「未来を予見するには結局は過去に遡らざるを得ない」という話はよく聞くと思います。私も悪戦苦闘の末、そうなった一人ですので、経営の社史はやはり重要です。
[1]会社の年表をつくる
難しい事は特になく、まず会社の年表を作りましょう。エクセルのような計算シートで、できれば10年分の会社の業績を横に並べてみましょう。そして市況イベント、顧客との営業イベント、社内での経営イベント等、を書き連ねましょう。それで年表の出来上がりです。
1. 市況イベント
- 円安好況、円高不況、経済危機、勃興特需等
- 業界ニュース、地域ニュース等
2. 顧客との営業イベント
- 新製品の導入、展示会、ディーラートリップ、営業セミナー等
- シーズンキャンペーン、ディスカウントプロモーション、目標達成ボーナス期間等
- 新規代理店の契約、新規エリアの開拓、販売店網の再編等
3. 社内での経営イベント
- 新工場の設立、EMS拠点の変更、海外工場の立上げ、調達サプライチェーンの変更等
- 経営陣の人事異動、組織変更、子会社設立等
[2]過去と現在を繋ぎ全容掌握
1. 年表の深読み
売上が上がった時に何があったか、また経営不振の時はどうだったか、市況、顧客、経営イベントの切り口で売上数字を追うと必ず見えてくるものがあります。またなぜ今この商材でこの顧客でこの経営スタイルで成り立っているのかが、時系列を追うことでスッと腹落ちする部分があります。過去と現在が繋がる瞬間です。
2. 更に行間を読む
そして経営社史の行間を読むには、古くから会社にいる各部署の古参の人に聞き込みをして、どこにも書いていない事実や当時の経営判断の材料などを聞き込みます。これはあなただけの情報ミックスとなって会社の全容を掌握できた感が湧いてくるはずです。
[3]将来に向けた考察
ここからが経営管理の本題です。どうやって将来に向けて「一円でも資産を増やし」「一人でも多くにブランド価値を高めるか」に取組みます。大局が見えたことで、どう言う時間軸でどのような製品サービスが必要とされるかがより身近なものとして感じるはずです。ここからはそれを具体的に形にしていきます。
1. 商材・サービスの切り口で業績を分解してみる
立ち位置が分かったら、製品群、サービス分野別に、販売、粗利、粗利率に分解してみる。強い商品、人気のあるサービス、成長率の高いヒットモデル、消耗品の構成比、粗利率の高い製品、実額のもうけ頭、新製品の貢献度、等々更に深い事実を探ります。この先5−10年の製品・サービスを見つける事が目的です。
2. 顧客軸の切り口で業績を分解し順番を付けてみる
結局お金の回収はお客様経由なので、どのお客様が一番キャッシュを動かしてくれているのか、また上位何パーセントのお客様で売上の例えば70%を稼いでいるか、つまり損益分岐点まで稼いでいるかを確認します。当然お客様の優先順位がはっきりします。お客様との問題が発生した時に優先順位が明確だとフェアーに判断することができます。また自社にとっての将来性あるお客様は誰なのか考察します。
3. PLとBSを動画的に配置して将来への流れを見る
意外にないのが財務諸表の横計。年度累計よりも単月を12か月横に並べた方が見えてくるものが多いです。PLは比較的想像がつき易いと思いますが、BSは、在庫の推移、キャッシュの推移、借入金の推移、等々会社のお財布がどう変化したのかが、まるでパラパラ漫画のようによく見えます。ここで見えたものが会社経営の大局観となり、細かい実務報告にまどわされない経営責任者としての軸が出来てきます。
4. 各職能スタッフとブレインストーミング
経営責任者としての独自の大局観を作りブレない軸を作ることは非常に大事ですが、「衆知を集める」ことも重要です。自らの考えの検証を行い、更なる知恵を積み上げる。色々なやり方があると思いますが、できればボトムアップ方式でやれる機会として活用すべきです。

経営管理は腕の見せどころ
カリスマリーダー、人徳ある経営、マイクロマネジメント、人それぞれですが、会社の全貌さえ掴めばあとはパーソナリティーだと思います。
- 会社の年表をつくり
- 過去と現在を繋げ
- 将来に向けて考察する


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