経営管理は自分で見える化

経営

 

経営管理はいきなり始まる

サラリーマンも中堅になって機が熟してくると、①ある日突然子会社の後任社長を命じられる、②上司に口説かれて新会社の社長になる、③課題会社の経営改革を仕事でやっていたらその会社の社長になる。そんな風にして社長就任を迎える方が多いのではないでしょうか。流れの中で「我が意を得たり」の人もあるだろうし、寝耳に水で「えっ、私が?」の人もあるでしょう。売り子だった人も、経理の人も、ものづくりの人も、とにかくその日からプロの経営管理は始まるのです。

経営管理とは

 経営管理とは要は、いくら売って、いくら儲けて、これだけ支出したから、最後黒字だった、赤字に陥った、という事を自分が正確に認識出来る事、そして他人にも分かりやすく詳細に説明できる事と言えます。ところが任命そこそこのサラリーマン社長の経営管理は、既に先輩達がつくったりっぱな書式があったり、ERPシステムが出してくるやたら見づらい帳票があったりで、「よう分からんけど、トータル儲かっとるからええか😁」となったり、「赤字の原因がわからんどうしよう😆」など、経営の舵取りをすべき社長にはあるまじき様々なケースが結講あるのではと思います。古参番頭なる知恵者がいる大企業は何とかなっても、孤軍奮闘を求められる中小企業では、困る人が多いのではと思い筆を取っております。そういう私も悪戦苦闘をした一人です。

1、まず自分で納得できる「まとめ表」をエクセルでつくろう

 上述したERPから出てくる書式は必ずしも自分が知りたい切り口でまとまっていない事が多く、逆に実態が見えないこともしばしば。大事なのは「生データ」です。例えば受発注履歴が一月分注文No.ごとに何千行も列挙してあるような販売履歴の積み重ねデーターです。それを自分の知りたい課題毎にエクセルでまとめていくのです。以下はその基本的なものです。

2、過去からのデータを横計にしてみる

  過去の延長に今があって未来がある。これはその通りでまず最低3年、できれば5年、データーがあれば10年横に並べてみましょう。販売、粗利、販管費、営業利益を並べて見れば、ずーっと伸びているのか、今は停滞期か、この年は異常だった、等々並べるだけでいろいろ見えてきます。当年度も毎月を横に並べて見てください。要は会社の歴史と自分の今の立ち位置をまずつかむのです。

3、製品・サービス別に分解してみる

 立ち位置が分かったら、それを構成している製品群、サービス分野別に、販売、粗利、粗利率に分解してみる。強い商品、人気のあるサービス、成長率の高いヒットモデル、消耗品の構成比、粗利率の高い製品、実額のもうけ頭、新製品の貢献度、等々これも傾向や気づかなかった事実が見えてきます。どんな会社でも問題商品、サービスはあります。早めに爆弾を見つけておくのも大事です。

4、顧客別に分解し順番を付けてみる

 結局お金の回収はお客様経由なので、どのお客様が一番キャッシュを動かしてくれているのか、また上位何パーセントのお客様で売上の50%を稼いでいるか、そして何社で損益分岐点まで稼いでいるかを確認します。当然お客様の優先順位がはっきりします。お客様との問題が発生した時に優先順位が明確だとフェアーに判断することができます。また自社にとっての上位顧客が本当に同社の資金リソースを自分たちに優先的に割振りしてくれている事業パートナーなのか否か、更に踏み込んだ調査が必要だと「気づく」事にもなります。

5、PLとBSの横計をつくってみる

 毎月の分析表は沢山あるのに、意外にないのが財務諸表の横計。月別に並べるのがお勧めです。単月と累計と言うやり方もありますが、単月を12か月横に並べた方が見えてくるものが多いです。PLは売上推移等、想像がつき易いと思いますが、BSの横計も、在庫の推移、キャッシュの推移、借入金の推移、等々会社のお財布がどう変化したのかがよく見えます。そもそもBSは一時点のお財布の状況なので、ストーリーを読み解くには横罫にするのが最善策です。ここで見えたものが会社経営の大局観となり、細かい実務報告にまどわされない社長としての軸が出来てきます。

早くルーツに遡るのが大事

 基本5パターンを紹介しましたが、6「資金繰り表」、7「在庫推移表」、8「PSI表」、と経営管理の切り口は課題によって更に広がります。

 「なーんだそんなの知ってる」と言うレベルものだったかもしれません。しかしいきなり経営の現場に放り込まれて、目の前の課題に解決策を講じても果たしてそれが正しいのかどうかなかなか自身が持てるものではありません。結局経営履歴を紐解いてルーツに遡り何故今そうなのかを悟ることになるのです。そこにできるだけ早く到達するには上記した横計を中心にした見える化作業を社長に就任したら始めましょう。マイクロマネジメントといわれようとそれが経営管理です。

 社長に就任したらという究極のケースを事例としましたが、部長に任命されたら、課長になったらでも基本は同じです。経営管理は、見える化からです。

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