コミュニケーション力はビジネスではもちろんのこと、あらゆるライフシーンでの人との繋がりに必要とされます。その力をつけるために深掘りをして考察してみたいと思います。
コミュニケーションの多様さ難しさ
コミュニケーションの持つ意味は多様で、「対話」「情報共有」という一般的なものから、「共感」「説明力」といった能力、相互理解などの状態を表すものもあります。その中でも「意思疎通」という言葉が本来的な意味合いが強いので、ここではその意味でのコミュニケーションについて、多くの人が感じているその難しさに就いて取り上げたいと思います。
[1]話がわからない、通じない
誰もが経験する「相手の言っていることがわからない」「こちらが何をいっても通じない」はコミュニケーションができていない状態です。最たるものは外国語を使ってのコミュニケーションで、いわゆる「言葉の壁」です。壁があると情報がまず伝わらない従って更に高い次元の意思は絶対伝わらない。外国語はそれを習得してあるレベルになれば、壁が低くなって情報は伝わるようになります。でも意思疎通となるとよほど使い込まないとそのレベルに達しません。意思疎通は母国語でも簡単に行かないケースがよくあります。これは単なる言葉の問題だけではなく、それ以外にもまだ違う壁がありそうです。
[2]コミュニケーションの壁
外国語の言葉の壁を例に上げましたが、日本人同士の会話でも「日本語が通じないわ」といった経験はあるはずです。世代間ギャップが身近な例ですが、「Z世代」「新人類」などのカテゴリー分けをしてそのギャップの大きさを強調してしまうほどです。ビジネスシーンでも顧客とのトラブルはコミュニケーションの問題といっても過言ではないでしょう。いったいどんな壁があるのでしょうか。
1. 言葉の壁
上記の通り外国語が最たるものですが、それ以外にも言葉の壁は存在します。日本語でも方言はシンプルに分かりません。同音異義語を間違えて捉えたり、流行り言葉もある意味壁かもしれません。
2. 心理的な壁
外国人だから、背が高くて大きいから、上司だから、年上だから、有名人だから等々、自分と異質だったり、少し上の立場だからということで心のバリアーを張ってしまっているケースです。ほぼ直感的なものなので感じてしまうとどうしようもないですが、自分でその状況を客観的に見極められるようになると壁は低くなります。
3. 文化的な壁
米国では笑顔は友好の証、ロシアでは意味なく公衆の面前で笑うのはバカと教えられている。実際の海外生活で得た話です。確かにロシア人は簡単には笑いません。ラテン系は時間にルーズ、日本人は時間厳守等、やはり国を跨いだ文化の壁が代表的ですが、日本でも関西人は明け透け、東北人は寡黙のように地域に根ざした文化の壁はありそうです。また個人主義vs集団主義のように考え方の違いによる壁も存在します。
4. リテラシーの壁
該当する分野、業界の言葉や慣習が分からないと日本語でも意味は通じませんね。ITリテラシーのない人にウェブサイト運営の仕方は理解できませんし、金融リテラシーが無ければ投資の話は分かりません。他にもビジネスリテラシー、医療リテラシー、メディアリテラシー等々存在します。
[3]見ている景色が違う
一応いろいろな壁はクリアーしたとして、見た感じうまくコミュニケーションが取れているように見える二人ですが、最後の最後で決裂してしまったり、結局振り出しに戻ったりということがあります。これは双方が意思疎通しようとして会話の最中に頭に描いている内容が全く違う景色である場合です。例えば商談でメーカー側が「中長期の計画を知りたい」というと、それは最低でも2−3年、業種によっては5年、10年もあるでしょう。大きな設備投資と回収期間を考えると当然です。ところがそういう目的を知らされず販売代理店に同じ質問をしたら、こちらは日々の売った買ったが生業で精々1年、長くても2年の時間軸しか頭に浮かびません。それがズレたまま会話を続けると冒頭のような結末となる分けです。
意思疎通のための努力
[1]コミュニケーションの手法を工夫
やり方さえ工夫すればコミュニケーションは間違いなく改善します。面倒に思ってただ喋っているとたちまちコミュニケーションは破綻します。コミュニケーションは全身運動です。顧客との会話を意識した対応策を下記しますが、内部コミュニケーションにも応用可能です。
1. はっきり喋る
当たり前ですが、大きな声で明快に喋ることが基本です。海外商談は伝わらないのではと懸念して自ずと明確に喋ろうと意識します。日本の商談、会議でも同じです。分かっているだろうではなく、時々話を切って、「ここまでの所でご質問はありませんか」とブレークを意識的に入れるのも有効です。
2. 書いたもので補完する
喋り言葉は本当に都合よく聞かれてそのままということになりがちです。くどい様ですが書面、プレゼン資料などで補完します。それでも読まない人もいますので、念押しのためにポイントは白板などに書いていきます。目の前で一から書かれたものは人間の記憶によく残ります。(参照:プレゼンテーションを得意分野にする)
動画・デモンストレーションでサポート
書いてもダメなら見せてみな!昨今はショート動画で音と映像で更に情報量を増やして記憶に貼り付ける努力も普通になってきました。また製品・サービスはデモンストレーションが有効です。
3. 会話に止めを刺す
日本人の美徳、顧客への配慮、引っ込み思案、これらはラスト1Mが詰められない最大の要因です。コミュニケーションを完了させるためには「当件はこれで間違いありませんね」のような「止め」が必要です。もちろん言い方、表現はTPOですが、締まりのない会話は慎みたいものです。
[2]熱意、気概を忘れない
精神論的になりますが、コミュニケーションの究極は「気」が伝わるかとどうかだと思っています。これは話す時の抑揚、ジェスチャー、間、アドリブ、笑い、理屈、アイコンタクトあらゆるものの総量というか熱量の伝達です。物理法則にも似た様なのがありますが、それによって「相手を捉える何か」が伝わるのです。
その点において日本の「察する文化」は時として国際コミュニケーションでは不利になるかもしれません。むしろ関西弁的なノリのコミュニケーションに感情的なものは乗っかり易いような気がしています。
行間を読ませる
英語にも、「Read between the lines」という言葉があります。確かに何でもストレートに伝えれば伝わるものでもないのが、「高い意思疎通」の領域だと思います。本当に心から伝えたいことは文脈で行間を読ませるのもコミュニケーションの一つの極意だと思います。
[3]様々なコミュニケーションスキル
手法について上記しましたが、喋る場合も、書く場合もコンテンツ次第で伝わり方は変わってきます。以下に紹介するのは伝わるコンテンツにするためのトッピング的なスキルです(本来的なコンテンツは変えられないので)。
1. 違う言葉での言い換え
同じ言葉を繰り返して言いたい時に、冗長を避けるため「違う言葉で言い換える」のは文章表現でもよくあるスキルです。「高い意思疎通」と固い言葉で言って、「深い意見のやり取り」とやや平易な違う表現で。
2. ことわざの引用
諺のタイムリーな引用は、対面対話では知恵者の印象も与えます。また直接的な表現よりも語呂もよく会話のリズムを整えてくれる効果も期待できます。新規事業の目論見を「取らぬ狸の皮算用」と言ってたしなめるのは効果的です。
3. 比喩を使う
上記と少しだぶるところもありますが、比喩を使って物事を単純化することでより正確に真意を伝える効果があります。ビジネスの案件管理と成約率の話は当事者には悩ましい問題ですが、案件数を打席数、成約率を打率と比喩して、野球に例えることでゲーム感覚のような新鮮味が湧きます。
4. 四字熟語・格言
これも諺と被りますが、四字熟語は諺よりは覚えやすく、また格言は諺の偉人名言として見聞を広げておくのも長期の取り組みとしても良いかと思います。
コミュ力を磨き続ける
時代とともに言葉もコミュニケーションの手段も手法も変遷します。10年前に当たり前の会話が今では成り立たないこともしばしば。またそのスピードも増しています。DX、AIの時代に入りそれらを扱うリテラシーによって、コミュニケーションは大きく変わる予感があります。しかしながら人間同士は理解し合い折り合いをつけていかざるを得ず、時代にあったコミュ力を磨いておくのはビジネスマンのたしなみですね。

コミュニケーション力をつけるには、
- コミュニケーションの多様さ難しさを理解する
- コミュニケーションの壁を克服する
- コミュニケーションの手法を意識する
- コミュニケーションスキルを磨き続ける

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