組織のリーダーになると、その運営に於いてトップダウン、ボトムアップは必ずぶつかる課題です。強みと弱みをよく理解しどのように使い分けるのがいいのか深掘りして考察します。
目指す組織運営に向けて
組織運営のやり方としてトップダウンとボトムアップがあります。トップダウンは強力なリーダーシップで一糸乱れぬ組織統率と言うイメージがあります。一方ボトムアップは意見集約型でワイワイガヤガヤと井戸端会議のようなイメージです。どちらも目的は組織運営であって、目標達成のための手法です。個の力を最大限引き出して、組織として全体最適を図るには、この二つの手法はどのように使い分ければいいのでしょうか。深掘りして考察してみたいと思います。
トップダウンの効用と弱点
トップダウンはまず強力なリーダーシップが前提となります。事業、課題、対策、いずれの方向性も明確で、タイムフレームも決まっていて、基本的なプランニングはトップの頭でまとまっている、そんな状況が想定されます。後は実行するための工数が必要で、目標に向けて脇目も振らず進んでいける組織運営の手法がトップダウンとなります。
トップダウンの強み
社長、経営責任者いわゆるトップのカリスマが強いので、組織の行動原理が非常に明確になり、意思決定と迅速な行動が実現される迷いのない経営管理となります。基本トップのワンマンコントロールが中心ですので組織形態はあまり大きくありません。自身の経験からしても全てに目配りができるのは精々100名位までなので、中小企業の経営管理としては一般的ですし、また成果が出やすい手法です。
トップダウンの弱み
どうしても一方通行の独裁態勢的になりますので、業績好調の上げ潮時にはよく機能しますが、反面業績が停滞、下降局面で色々な課題が頻発するフェーズでは難しく、問題のトップへのフィードバックが迅速になされず対応が後手になったり、トップが課題を処理しきれずにオーバーフローすることも考えられます。また大企業に於いてのトップダウンは社長の分身がしっかりと居て、各職能組織やカンパニー組織で指示系統を的確に分担することが必要です。それができないと機能しなくなる弱点があります。
ボトムアップの効用と弱点
翻ってボトムアップは、組織に於ける経営の最小ユニット、例えばチーム組織が自主独立して機能することが前提となります。それぞれのチームが個別最適を目指してワークし、それをトップが全体最適となるように方向付けをします。事業プランニングは全社の共同作業で行われ、最終のトップ判断はもちろんトップダウンですが、チームは大方針を守りながらも個別最適で生き残ろうとします。
ボトムアップの強み
多様で多くの意見を集約できるのでワンマンでは成し得ない考え、または重曹的な考えを生み出すことができます。ネット社会の進展で集合知の考えが広まってきていますが、考えの積み上げプロセスに親和性があります。大企業に於いては大きな世帯でスピード感を出すためには、ボトムアップ手法を適宜活用するのが一般的で、実際には経営トップのトップダウンとミックスで運営されます。
ボトムアップの弱み
組織運営にどうしても時間がかかります。よく開発独裁の効率性に対して民主主義はとにかく時間がかかると言う両体制の比較の話が出ますが、ボトムアップは民主主義的なので時間効率が低く最大のネックです。また「決めない」「何でも他責」と言ったいわゆる大企業病が出やすいのも弱点です。
トップダウンとボトムアップの黄金比率
1. 両体制の融合が現実的
どちらのやり方も一長一短で、またトップの性格、組織の規模によっても相性がそれぞれありそうです。しかしながらどちらか一方で押し通すと言うのは現実的には難しいのでどういうバランスで両体制のミックスをするかがポイントになります。
2. 国家運営も同じ
政治の世界でも大きな政府で予算管理、官邸主導で官僚機構にトップダウンのやり方と、小さな政府内で地方分権、民間主導型の統治形式があります。しかしながら官邸手動で小さな政府という組み合わせも現実にはあり、企業経営もどういうミックスでやるかに就て見習う部分があります。
3. トップダウン優勢型
強い意思決定、迅速なアクションが望めるのはやはりトップダウンです。カリスマの強いリーダーはトップダウンで進めて、行き過ぎを調整するためのボトムアップをフィードバック機能として構えるのは一つのやり方です。感覚的ですがトップダウン80、ボトムアップ20です。
4. ボトムアップ重視型
十分なブレインストーミングによる異分野間の意見交換をさせて新しい成果物を生み出すにはボトムアップが有効と思われます。例えば新製品開発、基幹システムのプランニング等が考えられます。しかし最後の決定は責任の取れる人間のトップダウンになりますので、ボトムアップ80、トップダウン20の感じになります。
5. 企業ごとに黄金比率がある
教科書的には、トップダウン50、ボトムアップ50がバランスの取れた理想の組織体系となりますが、現実の企業の運営手法は、トライアンドエラーを繰り返し当該組織体にとって絶妙のバランスを見つける苦難の連続です。経営状況、求められる成果等で都度バランスを調整していきます。経営の達人、実績の出せる組織リーダーはその黄金比率を掴んでいます。
マーケットイン、プロダクトアウト
製品開発の考え方に、市場のニーズを掴んで製品化する方法(マーケットイン)、新技術等の全く新しい価値を製品化して押し出していく(プロダクトアウト)という二つの考え方があります。これも形を変えたボトムアップ(前者)、トップダウン(後者)になります。例えばAppleは技術シーズ先行で尖った製品投入で業績を伸ばし、製品の成熟時期には徐々にマーケットイン寄りになる変遷をしているように、企業経営の一つの事例です。
どちらもやれる柔軟な組織運営が理想
トップダウン型でいく時期、ボトムアップ型を重視するステージ、経営は生き物でその都度ベストの組織運営が求められます。画期的な新製品が出ればトップダウン、販売が停滞し市場クレームが増えていれば自然とボトムアップ、硬軟合わせた柔軟な組織運営をできるようにすることが理想です。

トップダウンとボトムアップのマネージは、
- 両体制の効用と弱点をよく理解する
- 企業ごとの黄金比率を掴む
- どちらもやれる柔軟な組織運営


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