一を聞いて十を知る組織をつくる

経営

理想の組織

 個の力と組織の機能のどちらが重要か。チームプレーのスポーツでもよくある話です。とにかく個の力を磨けばそれが集まった組織は強い、と言う考え方と、組織が正しく機能すれば1+1=2ではなく、1+1=3にも4にもなると言う考え方があります。確かにスターのいないサッカーチームでもスター揃いの競合チームに勝つ事は経験上我々は知っています。ビジネスの場合も目標達成のためにどう言う組織がいいかと言う事がよく議論されます。実際現場では組織変更をすることで問題解決を図ろうという試みが繰り返されています。現有メンバーの実力で最大限機能する組織とはどう言うものか考えてみたいと思います。

[1]組織形態の限界

 機能別組織、事業部型組織、カンパニー型組織等が大企業を筆頭に存在しますが、これはスポーツに例えるとフォーメーションのようなものです。人をどう配置すると作業の無駄や、考えの重複が減って意思決定が円滑になるか、つまり効率が上がるかという観点で議論される組織の形態と考えます。

 一方で個々の人が課題に対してどう考えてどう言う行動を取るかと言うことに対しては必ずしも有用ではありません。例えば品質問題が起きた時、「お客様第一で考える」と言うことが徹底されていないとしたら、機能別であれ事業部型であれ、まとまりのある解決策は出てきません。従ってフォーメーションをいじくっただけでは、問題解決ができて目標達成に向ける組織はつくれません。

[2]組織の中核をなすのは「行動原理」

 では何が組織を機能させるのか、それは行動原理です。行動原理とは、目標、問題、課題に対して実際の行動を起こす根源的な理由や動機のことです。多くの場合、会社の社是や経営方針がその代表的なものです。上記の「お客様第一」は分かりやすい事例です。他にも製造業で有名な「カイゼン」とか「ブランド力」とかもあるでしょう。一方カリスマオーナー企業ならそれは「オーナーの意思」であることが多く明文化されないものも沢山あります。例えば他の会社で目標達成のために値引き販売するところを、逆に値上げすることもあり得ます。「オーナーの粗利への拘り」が行動原理として働いています。ことほど左様に、組織を動かすのはこの「行動原理」を、それぞれの場面で理解しそれを徹底する事がポイントになります。

[3]行動原理を活かせば、一を聞いて十を知る組織となる

 行動原理は、会社によってまた場面によっていくつも存在します。また社内の行動原理が必ずしも統一されておらず相矛盾するものが乱立しているケースもあると思います。まずは現状把握です。

 長年根付いている社是等は会社の行動原理そのものです。例えば「信賞必罰」は経営責任者自らの信条でもあり不変の行動原理です。一方実務の世界では、「顧客満足」「コスト意識」「業界貢献」等の行動原理があり、どれに優先順位がつくのか不明確な場合があります。例えば前述の品質問題が起きた時、「顧客満足」で動くのか、「コスト意識」を優先するか、プロセスと結果は大きく違ってくる可能性があります。

 これら行動原理がきっちり整理されている組織は、職長の号令一つで組織が必要な行動原理に沿って機能的に動き、目標達成に向けて邁進する事ができます。それは一を聞いて十を知るかの如く迅速で整然とした打てば響く組織となります。

[4]組織を動かすのは経営の最小ユニット

 行動原理を実践するのは、チーム、課、係といった経営の最小ユニットです。そしてその陣頭指揮役がチームリーダー、課長、係長です。これら職長が会社の行動原理をよく理解をして仕事を進めれば、会社全体として組織を大きく機能させて、1+1を3や4にする事ができます。一を聞いて十を知る組織運営に成功すれば、同人数の他社の機能を上回り、会社全体の競争力を格段にアップすることができるでしょう。つまり経営の最小ユニットをマネージできる有能なリーダーを育成することが、行動原理をコントロールし組織を動かす事ができます。

[5]リーダーの育成と行動原理の習得

 鍵になるのは、職長たるリーダーに如何に会社の行動原理を体現させ且つその再現に向けたモチベーションを上げるかです。一つの方法としてPDCA(Plan, Do, Check, Action)サイクルを仕事のプロセスに取り入れます。考えて、実行して、レビューして、そして次に向けて改善する。繰り返し何度も何度もやることで組織としての一つの「行動原理」が確立してきます。この場合、行動原理は「問題に対処する組織としての決め事」という意味合いです。上司部下のコミュニケーションも考えてみると、会話を通して行動原理を確認し対面で教え込んでいるOJTなのでしょう。

[6]リーダーのモチベーション

 経営の最小ユニットであるチームがこの行動原理を愚直に実行していきます。チームの責任者がリーダーシップを発揮して、チームがその行動原理の下、モチベーション高く動いている、それが「一を聞いて十を知る組織」なんだと思います。トップの強い意志の下、リーダー達の不断の努力で経営の最小ユニットは動いて機能し続けます。言うは易しですが、実践できている組織は決して多くないのが実情だと思います。

 リーダーのモチベーションを確保するには、しっかりとした評価が欠かせません。つまり「報酬という最終的な形」が明確になければ、思いだけでは人は着いてきません。翻って報酬を出せる企業環境がリーダーを鼓舞し「一を聞いて十を知る組織」を生み出し易くする前提でもあります。経営責任者はそう言った現実を踏まえ行動原理を整えていかなければなりません。

一を聞いて十を知る組織をつくるには、

  1. 組織の形態よりも、行動原理を理解する
  2. 行動原理を動かす経営の最小ユニットをマネージする
  3. 経営の最小ユニットを動かすリーダーを育成しモチベーションを確保する

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