昇格試験はその仕組みを知ることで、一方的な受け身のテストではないことがわかります。サラリーマンという勤め人の正念場を迎えている方は、少し気分転換を図りましょう。
昇格試験のチャンスが巡って来た
こう思える人は強い。まず昇格をしたいという意思があるかどうかは大きな分岐点です。したくない人、どうでもいい人は、これから話すことは少しミスマッチかもしれません。しかし気が変わることも十分あり得るのでまずは参考にして貰えればと思います。
多分受験勉強以来の大きな登竜門です。緊張もするし努力も必要です。しかしこれは正にチャンスなのです。士業などの資格取得試験は「基本、落とす試験」です。従って合格は喜びもひとしおですが失敗した時の挫折も半端ではありません。昇格試験は「基本、通す試験」です。試験なので当然合否はありますが、選抜されての試験ですので流れに乗れるかどうか、むしろ流れを掴む力を試されていると言ってもいいでしょう。もう少し詳しく話していきます。
[1]会社の人事委員会
多分そのような会議がどこの会社にも存在すると思います。次年度の昇格候補者を職場の上司の推薦、人事部の意向等を調整して決める会議です。「A主任は営業実務に長けていてリーダーシップもある。年功を考えても課長になって営業2課を任せたい」と推薦があって、他の部署からも同様の推薦案件があり、次年度の候補者はこの5人で行きましょうと決まる会議です。これは明らかに会社側の意向であって、やれそうな候補者を少し競わせて会社の組織運営を進めていく一つの手段です。倍率も多分2倍以下、合格率70%辺りではと思われます。もちろん本人の意思確認や数年がかりの昇格に向けた取組みがなされてのことですが、選抜されてしまえばかなりハードルは下がります。ピンチではなく全くのチャンスです。
[2]昇格のメリット
昇格すれば、まず給与が上がります。経営の最小ユニットであるチーム、課、係等の職長となって人の上に立って陣頭指揮する立場となります。チームリーダー、課長等の肩書きがついて社会的スタータスも上がります。一方デメリットは人それぞれですが、責任が重くなる、経営陣と何らかのシガラミが生まれる等でしょうか。仕事上の自己実現、自己完結は基本的に高まるので、また新たに仕事に対するモチベーションが変わるはずです。いずれにしても会社人生のどこかで立身出世して勤め人としての上がりを稼ぐステージがこの昇格を機に訪れます。
[3]社会的背景の変化
1970年代高度経済成長期は、昇格は年功のご褒美的なものがあったと思います。経済が成長し組織がピラミッドなので若年世代がどんどん押し上げてくれる構造で多くの人が昇格した時代でした。自身は1990年代のバブル崩壊まではこの傾向が続いたと思います。以降厳しい時代が始まり昇格は選抜された人に限られ責任もずっと重くなりました。決して出世は憧れではない時代に変わっています。しかしながらコロナ後は本格的な人手不足の時代になり、会社は定年で抜けていく職長の代わりが簡単には見つけられず、定年延長、再雇用も延長する時代です。見方を変えれば現代は若手のやる気次第で昇格でチャンスを掴む時代とも言えます。この流れをしっかり掴んでいれば、昇格は決して恐れるものではなくなっています。
[4]会社側が期待していること
経営陣は次代に仕事を任せたいと切に思っています。いつまでも老兵で戦えるとは思っていません。常日頃、職長が集う管理職達の会合ではお互いが会社のことをよく理解ができている仲間として会話をしています。そして一定の管理職同士の信頼感を相互に醸成しています。昇格すると言うことは、その会合仲間になると言うことです。その会合と同じ目線で話ができる人間を昇格面談で実は確認をしています。意外ですが自分の仕事の出来栄え、スキル、責任感といったものはもちろん大事なのですが、「管理職として目線が合うか」これがポイントです。それとやはり真面目に会社の将来を担うわけですので、仲間としての目線に加えて、「何か新しい事、何か現状を変えようとしている事」を聞きたいと思っています。最後は月並みですが「熱意があるか」です。言い換えるとこれから管理職として走っていくパワー電池を体内に十分持っているかを肌身で感じたいと思っています。
- 管理職として目線が合うか
- 何か新しい事、現状を変えようとしているか
- 熱意があるか
[5]チャンスでフルスイングするために
用意周到という言葉の通り、準備をすることで落ち着いて昇格試験・面談に立ち向かえます。上記3点のポイント毎に準備を進めましょう。
1. 管理職として目線が合うか
日頃、経営陣が見る資料、そこから課題に思っていること等をチェック。
- 決算発表資料(会社の世間での評価、自部門との繋がり確認)
- 株主向けのメッセージ(会社の外面を知る)
- 社内のIRニュース(重点経営課題の知見を広げる)
- 上司等、身近な管理職への自社の課題の聞き込み(その活動だけで評価されることも)
2. 何か新しい事、現状を変えようとしているか
- DX, AIの業務での活用取組み(一番聞きたい部分かも)
- そのための社史レビューの取組み(過去を知って現在、未来を語る)
- 人材交流の取組み(人は喉から手が出るほど欲しい)
3. 熱意があるか
- 面談、プレゼンの練習(練習の成果が間違いなく伝わる)
- 社内コミュニケーション拡充(昇格試験の出稽古名目で各職場を巡回、意見交換)
- 意識的な課題図書読破(歴史著名人書、話題のビジネス本、労務管理等)
[6]忘れてはならないこと
会社側の意向に沿った準備を少々強調して来ましたが、最終的に絶対に忘れてはならない事があります。それは「自分の得意分野」のアピールです。「数字に滅法強い」「プラン構想力なら」「折衝させたら右に出る者はなし」「財務会計と納税も」「労務管理なら」、何が自分の武器なのか、今は武器になっていなくても何で今後勝負していくのか、それを改めて見極めて、言い聞かせることです。その分野では、管理職との目線も、新しい取組みも、熱意も全て包含することができると思います。

昇格試験で人生は変わる
昇格試験は勤め人の人生の大きな節目です。もちろん良い結果になることが一番ですが、仮に挫けてもここでフルスイングして踏ん張るかどうかが重要だと思います。そのまま出世街道を邁進するもよし、自分は求められていないと悟れば今の時代転職もありです。踏ん張ることで見えてくるものが必ずあると思います。
昇格試験を迎えることができたら
- もらったチャンスはフルスイングで掴み取る
- 忘れてはならない「自分の得意分野」のアピール

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